株式会社Seibii

整備予約の前日確認にnocall.aiを活用。架電の自動化によってコスト20%減へ

整備予約の前日確認にnocall.aiを活用。架電の自動化によってコスト20%減へ

自動車整備業界の業務効率化に向け、出張整備サービスなどを展開する株式会社Seibii(セイビー)。同社では2025年8月より、これまで人力で行っていた架電業務の一部をnocall.aiに移行しました。最終的には全ての架電業務をAI化していきたいとするSeibiiがどのようにnocall.aiを活用しているか、代表取締役社長 千村真希さんと、今回の架電業務効率化を取り仕切っているオペレーション統括部オペレーション推進グループマネージャー 鈴木孝治さんに伺います。

テックの力で整備業界の課題を解消し、関わる人全てを幸せにしたい

── まずはSeibiiがどのような事業を展開している会社なのかを改めて教えてください。

千村さま:Seibiiは2019年に創業したモビリティのスタートアップです。1,000名以上が登録する自動車整備士ネットワークを保有しており、整備士が直接お客さまの自宅やオフィス、指定の場所へ出張整備に伺うサービスを全国47都道府県で展開しています。

── なるほど。自動車整備の会社だからSeibiiなのですね。

千村さま:現時点ではおおむねその通りです。ただ、社のミッションは「人とモビリティとの新たなストーリーを創る」と定義しており、広く整備士の働き方改革を支援していくことを目的にしています。創業後、まずはとりわけ市場の大きな自動車整備から取りかかりましたが、現在はそれ以外にも法人顧客の車両管理を効率化するプロダクトの提供や、整備士の転職支援、整備工場の運営、整備士の育成なども行うようになりました。

── そもそも千村さんが自動車業界で事業を立ち上げようと考えたのはなぜなのでしょうか?

千村さま:自動車業界はMaaS(Mobility as a Service)や自動運転、電気自動車など、ハイレベルな未来を見据えている一方、それを支える整備業界は極めてアナログで、人手不足や後継者不足といった課題を抱えています。このギャップこそがビジネスチャンスであり、課題を仕組みやテックで解決できれば社会に貢献できると考え、Seibiiを立ち上げました。おかげさまで順調に事業を拡大しており、創業から約6年で月間1万件以上の出張整備をご依頼いただくまでに成長しています。

株式会社Seibii 千村真希さん

── 出張整備を提供する企業はSeibiiだけではありません。同業他社と比べてSeibiiのサービスが優れている点はどちらになりますか?

千村さま:整備士ネットワークを利用した出張整備と言うと、整備士の紹介以降は当事者間で調整していただく「スキルマッチング型」のサービスを想像されますよね。しかし、Seibiiの出張整備は「プラットフォーム型」を採用しており、Seibiiがお客さまからの依頼を一元管理し、厳選した登録整備士をアサインする仕組みになっています。お客さまとのやり取り、スケジュール調整、決済、クレーム対応など、全てのノンコア業務をSeibiiが中央集権型で取り仕切るのです。これにより、整備士は整備作業だけに集中することができ、1日あたりの受注件数を増やして収入を高めることができます。

もちろん、お客さまの側にも大きなメリットがあります。法人顧客に対しては、全国47都道府県で統一された品質とオペレーションを提供できること、そして何より窓口を1つに集約できることが、全国に数千台規模の膨大な量の車両を保有する大企業に対して大きなアドバンテージとなります。個人顧客に対しても、出張整備ならではのフットワークの軽さが「とにかくすぐに直したい」という切実な要望を持つ方々から支持されています。

整備前日の確認電話にnocall.aiを活用中

── そんなSeibiiでnocall.aiがどのように活用されているのかを聞かせてください。

鈴木さま:1か月ほど前に確定した出張整備日程について、その前日に「明日がお約束の訪問日ですがお伺いして大丈夫でしょうか?」と電話確認する業務があります。もし、お客さまの都合が悪くなってしまった場合、別日に振り替えねばなりません。これまでそうしたやり取りは、アルバイトにやってもらっていたのですが、コストもかかりますし、何より属人性が高く品質が安定しない問題がありました。そこで、Seibiiの事業を次のフェーズに進めるにあたり、生産性を高めて利益を確保する目的から架電業務の人手をAIに置き換えるnocall.aiの導入を決意しました。

── 前日確認の電話は1日何件くらいかけているのでしょうか?

鈴木さま:Seibii全体では毎日200件前後の確認電話をかけています。2025年8月からnocall.aiへの置き換えを進めており、将来的にはその前段となる日程調整までをnocall.aiに任せたいと考えています。

株式会社Seibii 鈴木孝治さん

── AIを活用した架電サービスは他にも選択肢がありますが、その中からnocall.aiを選ばれた理由を教えてください。

鈴木さま:まず、すべてのやり取りを音声で完結できる完全対話方式であることが大前提でした。やり取りを電話のボタンを介して行うプッシュトーン方式では、運転中のお客さまに対応していただくことが難しいためです。

その上で、最も重要だったのが、複雑な分岐のあるスクリプトの作り込みをnocall.aiにおまかせできたこと。ノーコードとは言え、我々がゼロから短期間でスクリプトを作りあげるのは難しいと感じていたため、このサポートはnocall.aiの導入を大きく後押ししています。

── nocall.aiの活用において工夫されていることはありますか?

鈴木さま:法人のお客さまでは1日に何台もの整備を行うことがあるのですが、これをそのままシステムに入れてしまうと、前日に同じような電話が台数分かかってくることになり、大きな負担をかけてしまいます。そこで、1度の架電で複数台分の日程確認ができるようnocallと協力して仕組みを整えています。1台目の確認が終わったら、そのまま2台目の確認が始まるようなイメージですね。

あと、本当に細かな工夫として、日程調整時に「前日にAIから確認電話がかかってきます」と伝えておくようにしています。将来はともかく、今はまだこうしたサービスをご存じない方が大半ですから、あらかじめお知らせしておく配慮は必要でしょう。

コスト削減だけでない大きな手応えと可能性を感じている

── nocall.ai導入の成果について、現時点での手応えはいかがですか?

鈴木さま:今後、全ての架電業務をnocall.aiに置き換えることで約20%のコスト削減が見込めると試算しています。また、これまで悩まされていたオペレーション品質が一定に保たれること、一度に大量の件数を処理できること、つながらなかった場合の再架電も全て自動で行われる点もnocall導入のメリットと考えています。

千村さま:実のところ、お客さまとのコミュニケーションをAIに委ねることに対し、クレームをいただくことも覚悟していたのですが、思った以上にポジティブに受け取ってくださる方が多く、少し驚かされました。昨今の生成AIブームもあって、皆さん慣れてきているところがあるのかもしれません。

鈴木さま:通話中の様子を聞いていると、「AIから電話がかかってきた!」と驚きながらも、最後までスムーズにやり取りされるお客さまが期待した以上に多かったですね。もちろん、事前に伝えていてもAIと分かった瞬間に電話を切ってしまわれる方もいらっしゃったので、それは今後の課題だと認識しています。

── トライアル期間中に変更したり、改善したりしたことはありますか?

鈴木さま:いろいろやっていますよ。たとえば架電時のAI音声を変更しています。利用開始前のテストでこの取り組みでは低めの男性ボイスの方が落ち着いて対応していただけそうだと感じ、そのようにしていたのですが、使い始めて1か月ほど経った頃、nocall側から新しい「nocallボイス」を使ってみませんかと提案されました。

── nocallボイスは従来のAI音声よりも自然な聞こえを実現した、nocall.aiの新機能ですね。女性の声を再現したものですが、従来男性ボイスにはない柔らかさを持っていて、確かにこうした使い方にはピッタリのように感じます。

鈴木さま:そうなんです。試しにnocallボイスを導入してみたところ、なんと翌日から途中で電話を切られてしまう率が10%も改善しました。

── それはすごい!

株式会社Seibii インタビュー風景

鈴木さま:そのほか、トークシナリオの冒頭部分をシンプルにしてすぐに本題に入るようにするなど、細かな調整を繰り返し、より成果が上がるよう改善しています。もちろん、その際はnocallさんが親身に相談に乗ってくださり、とても助かりました。

人間同様の電話対応を目指し、“爆速”で進化させてほしい

── 今後のnocall.ai活用について、どのようにお考えになられていますか?

鈴木さま:現在はシンプルな架電業務にのみ利用していますが、今後は、お客さまとの日程調整にもnocall.aiを活用していきたいと考えています。社内のスケジュール管理システムなどと連携する必要があるため、現在の仕組みよりも複雑になってしまうのですが、遠からず実現したいですね。

そしてもう1つ、最近実装された受電機能にも興味があります。nocallボイスもそうですが、これからどんどん機能を強化していって、人間に任せるのと同様のやり取りができるサービスに発展させてほしいと思っています。そうすることで、電話でのやり取りが多い業界には必須のサービスになっていくのではないでしょうか。

株式会社Seibii 千村真希さんと鈴木孝治さん

千村さま:どんなにITが発達しても、ビジネス現場において電話のやり取りがなくなることはありません。これを100%全てAIに任せられるようになるかはまだ分かりませんが、その半分でもAIに任せられれば、業務構造が大きく変わります。nocallには、その部分を“爆速”で進化させ、私たちの業務を支えてほしいですね。期待しています。